強豪の強さ

コンビニで手にしたサッカーマガジンに「関東の主役を狙う男たち」と、大学リーグの注目選手を紹介するページがあったので、つい買ってしまいました。ところが、見開きページには専修の選手が一人もいない。筑波大の赤〓選手が筆頭はまあいいとして、なんで?と思っていたら、トビラの上に「専修大をストップするのは誰だ?」とありました。前の号で、専修の特集があったんですね。「ああ、今年はそういう位置なのか」と納得しました。開幕直前の話です。

もちろん身内が入部したから注目するわけですが、これまで、いわゆる強豪とか名門とかに縁がなかったもので、そういう位置にいるチームを応援する感覚に慣れていません。長男の時も次男の時も、公式戦の観戦はジャイアントキリング感を堪能していたようなところがありました。特に兄の航平は、劣勢の状況を跳ね返すパワーのようなものが体からみなぎっていました。対戦相手の観客席の空気を「大清水ってどこ?」みたいな感じから「うわあ、またあの11番だ」と恐怖心に変えてしまうのを、親ばか承知で楽しませてもらっていました。

関東大学リーグ1部開幕前後に、専修のレギュラークラスの練習試合も含めて三試合見たのですが、何が違うって、失点後の周りの空気ですかね?わりと簡単に失点するんです。先制もされる。私ら夫婦の慣れ親しんだメンタリティーだと「あー、ヤ、ヤバイ 」と心拍数が上がるところなのですが、ベンチや観客席の大勢の部員達は、なんかそうなってない。「またかよ」みたいな感じで、あんまり深刻じゃない(たぶん)。選手達も頭を掻くようにして、淡々とセンターサークルにボールを運びます。そして、淡々と得点を重ね、終わってみると大差で勝ってるという。
「強い」もう、今のところそれにつきます。

複数のJクラブが獲得を目指し、特別指定選手としてマリノスナビスコカップにも出場した、トップ下の長澤選手、右の高速ドリブラーの仲川選手に、ビシビシ縦パスが入り、そこでためを作っている間に二、三人が裏へ飛び出して行く。そこへスルーパスというのが、ひとつの形だと思います。裏を警戒して相手が少しでも下がると、長澤選手はペナの外からでも決めるシュート力があって、仲川選手は一人で斬り込んでいきます。
仲川選手は、一年生の時から注目されていたそうです。もの凄く速いのに、ボールを持つと、まずはゆっくり仕掛けることが多い。相手を引き付けて、高速でかわして行く。注目のドリブラーです。
さらに、やたら1対1が強い右サイドバックの北爪選手は、攻撃時には高い位置をキープ。クロスも上げれば、中に入って行ってシュートも打ちます。

仲川選手。 ここから、キュキュっとトップスピードに入ります。

北爪選手。裏をつかれた相手に多少差があっても追いつく。スピードも兼ね備えています。



そして私が最も目を奪われるのは、もう一人のトップ下、下田北斗選手。大清水高校(藤沢清流の前身)出身で長男の3つ後輩、次男の3つ先輩です。神大の大王選手や柿崎選手と共に、高校時代に関東大会に出場しています。注目はその運動量。すごいです。長澤選手らが持つと、裏へ飛び出し、奪われるとダッシュで戻って、自陣ゴール前でクリアしたりしていました。「え?さっき一番前にいなかった?」って感じ。それでなおかつ、止める蹴るが正確で判断が早い。素晴らしいです。

下田選手。 左足のキックが気持ちいい。スパン!と行きます。

狭いエリアでのパスの受け渡しの技術の高い選手が多く、2対3みたいな状況でも、寄せが甘いと逃げずにパスで突破をしかけたりもします。そうやって、ボールを動かされ、揺さぶられるので、徐々に相手の体力は奪われて行きます。先日観戦した慶応大学戦は、終盤にバタバタっと得点を重ねて行きました。

長澤選手。 開幕前に行われた全日本大学選抜の試合ではキャプテンをつとめていました。いろいろ持ってる上に、この男前。どうしましょう?



表向きには、強豪チームの華やかさが目立ちますが、チーム内でのポジション争いは熾烈です。同じポジションに数名がひしめき、凌ぎを削っているようです。それぞれが実力者。週末のゲームに向けて、毎日の練習が勝負。良ければ上に上がり、そうでなければ落とされる。厳しさとは、こういうことなんだろうと、思わされます。