スタンダードは進化する

久しぶりに関東大学リーグを観戦しました。専修 対 順天堂大学です。

ボールが収まるという表現がありますが、縦に入れたパスを受けて、そこで時間を作れる選手がいると、攻撃の幅はひろがります。専修の攻撃を見ていると、そのことがよくわかります。
先取点は、仲川選手が敵ゴールを背にしてフィールド中央でキープ。近寄って来た長澤選手に落とすと、そこでもう一度ためて右の前のスペースへ。この日は、3バックで、攻撃時は通常より高めのポジションの北爪選手がほぼフリーで受けて、ドリブルで切り込みそのままシュートを決めました。
中で2人が、相手を5人ほど引きつけているわけですから、フリーの選手も生まれるわけです。


攻守が切り替わった時に、決定機が生まれることは、今や常識。そのスピードとクオリティは、チームのレベルに比例しているように思います。センターフォワードへのパスをカットすると、それがそのまま前線へのパスになり、一気にシュートまでというシーンもよくあります。守備時も、奪ったらどうするかと考えながらプレーするわけです。逆に言えば、攻め込んでいる時に奪われた場合の対処の方法は、攻撃とセットで考えておかなければいけないテーマなのかもしれません。奪われた選手が、ダッシュで戻って、カバーリングにまわるということなんか、もはや必須でしょうか?

余談ですが、バイエルン就任前のペップのインタビューで、バルサの監督時代、ドン引きの相手に、ポゼッションしながら、相手にわざとボールを奪わせて、一度前がかりにさせた瞬間に奪い返して、シュートまで持ち込んだという信じ難い話を読んだことがあります。

昔から言われてきた、フィールドを三分割した、アッタキングサードでは「ボールを失うことを恐れずに積極的にしかけよう」みたいな言い方が、かなり呑気に聞こえてきます。物理的なフィールドのサイズは変わっていませんが、観戦者の感覚としては、フットサルやバスケットボールの攻防に近い感じです。フィールドのどこであろうと、ボールを失うことは即ピンチです。

前線の選手にボールを預けた、でも、トラップが少し大きくなって相手に渡ってしまった。ドリブルをしかけた、でも抜けずにボールを奪われた。クロスをあげた、でも、キーパーにキャッチされた‥どのパターンでも、そこから速攻を受けてシュートまで持ち込まれることは、もう普通のことです。


攻撃側の選手が、ペナの中で止まっちゃう。固唾を飲む瞬間です。



シュートなり、ドリブルなりに加えて、相手に寄せられてもボールを簡単に奪われない能力、さらに 奪われた瞬間の切り替えスピードなど、アタッカーのスタンダードは進化しているようです。同様にセンターバックの選手で、パスやドリブルのうまい選手は、いまどきめずらしくありません。
次男が高校生の時(まあついこの間なんですが)、ある試合でセンターバックをやっていました。近くで観戦していた人がふと「なーんだ、今日はディフェンダーですか」とがっかりしたようにつぶやいていました。幾重にもわかってないなと思って、返す言葉もありません。彼は子供達にサッカーの指導をしているんですが‥‥

大丈夫かな?