ワイルドでいこう

水戸の先。那珂というところにある笠松運動公園という競技場まで行ってきました。関東大学リーグの最終節。神大×慶応。


小学校時代の最後の公式戦は、確か航平がPKをはずして負けたんだと思いますが、その時はベンチに座ってました。でもその後、中学の最後の試合も、高校の最後の試合も、仕事で行くことができませんでした。「負けました」で終わる、かみさんのメールを読んだ時の気分を今でも覚えています。
「その試合に勝てば、翌週になれば、その時の現場に区切りがつく。そうすれば見に行ける」なんて思っても、そう上手くいくもんでもありません。


ただ、今回はリーグ戦。インカレも無くなったので、この試合で引退は、わかりきっていました。だからどんなことがあっても、と思って三週間休まないで働いてきました。


常磐道の入り口まで来たときに、あと90キロって知った時には「まじかよ?!」と思いましたが、なんとかたどり着きました。公園の中にある、良い競技場です。
到着直前に「スタメン行ってきます!」とのメール。ちょっとぐっときました(1回目)。


11時半キックオフ。神大は、ペナルティエリアとセンターラインの真ん中あたりで、ツートップからの追い込みが始まるのですが、慶應はそれでも、ボールが効果的にまわっているように感じました。奪いに行っても、納まりどころがあるので、ボールは運ばれます。特にトップ下の10番河井選手は上手い。無理をしているようには見えないのですが、どういうわけか余裕でボールを受け、捌き、再び良い姿勢で受け、フィニッシュに絡みます。藤枝東高で、高校選手権の準優勝した時の中心選手です。先取点は、そのような形から慶應に奪われました。

しかし前半終了間際、CKからキャプテンノリ君のヘッドで追いつきます。

後半も同様の展開。ただ、親のひいき目なのかもしれませんが、航平が「こいつ、うまくなってんな」と思わせる場面が、2、3回ありました。ポストに入ってボールを受けてからのターンとか、落とすボールとか、シンプルなことなのですが、なんというかとても丁寧にやっているように見えたのです。

今年前期の初戦が、やはり慶應戦だったのですが、その時に比べて丁寧になっているなと思いました。たった半年かそこいらなのに「変わるんだなあ」と。「おまえ、まだ努力してたんだなあ」と。またここでちょっときちゃいました(2回目)。


ここ2試合で、点を取っているからといって(もちろん期待はしていたのですが)「この日もまた」なんて簡単な話ではないことは分かっていました。ゴール前の混戦で体をはって、ぐちゃぐちゃの中で押し込むような…あるとしたらそんな形かな、と想像していたのですが、そのような場面でも慶應のDFは落ち着いて対処していました。





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後半追加点を奪われ、1-3で神大は破れました。














どこにでもある小さな町のクラブ、地元の中学、地元の高校の部活と、ごくごく普通の進路を歩みながら、よくここまできたものだと思います。特別足が速い訳でもない、背が高い訳でもない、テクニックが人並み以上にある訳でもないこいつが、ここまでこれたのはなんだったのか。

高校の恩師は「戦う姿勢」を誰よりも評価してくれていました。だから逆に「体が壊れはしないか」と心配もしてくださっていました。小学生の頃からそのスタイルで、怪我も絶えませんでした。しかしその頃は「よく怪我するね」と他の親御さんに冷ややかに言われたこともあり、私も返す言葉を飲み込んだことも何度かありました。チームの勝利のために戦う航平の姿勢を買ってくれ、それを生かしてくれた高校の恩師との出会いが、あいつにとっての最大の幸運だったと私は思っています。














「ごめんちゃい」と言って夜、うちに帰ってきました。負けたり、ふがいないゲームをして、私がガーガー文句言ったりするのが以前は普通で、中学の頃はそれで大喧嘩になったりしたんですが、自分で謝るなんて「どうしちゃったんだよ」と拍子抜けしちゃいました。
    

それにしても、ほんとにこれまでよく負けてきました。「どん底」に突き落とされたような思いも、何度かあったと思います。でも、負けても、負けても、またしばらくすると、ボールを蹴りたくなっちゃうみたいです。負けた後のつらい思いを「サッカーやりてー」という気持ちが、きっと上回っちゃうんだと思うんです。








そのうちまたどこかで、はじめるんだろうな。