薔薇の名前

正月休みが終わってからまた働き詰めなのですが、10日の成人式の日の午後、私の建築現場におせっかいな、いや親切な同業の親方から電話がありました。
「ラジオ聞いてるか?」「は?」「ばか!(とびきり口汚いんです)高校サッカーだ」「いえ、FM横浜ですけど」「ばか、決勝やってる!聞け!AM1422だ」「はあ」。



この親方、野球好きなんですが、サッカーの試合もテレビ観戦しては、翌日「昨日の日本は、あれでいいのか?だめだべ?」みたいな電話をかけてくるのです。私に日本代表の試合のコメントを求められたりしても困るのですが、高校サッカーは本当にお気に入りらしく、この私以上に毎年熱中しているのです。
いろいろ話を聞いていると、あの、ハーフタイムにやる『涙のロッカールーム』がどうもたまらないそうで、あれを見てはぐっときちゃうようなのです。
「滝二の監督は、試合開始の瞬間から涙を流していた」とか「病気の親父がテレビで応援してた」とかその手のサイドストーリーが大好きなのです。早口で電話の向こうで話しているのですが、途中から「山の神」とか「東海の第二走者」とか、箱根駅伝の話もまざってきて、そっちはそっちでやっぱりサイドストーリーがあるらしく話がごっちゃになってくるのです。



こういうイメージ作りが日本テレビってうまいんだなあとつくづく思います。
以前は、こういうのにものすごく反発していたのですが、高校サッカー箱根駅伝も、結果としてこれほど注目される大会になったわけですから、まあいいんじゃないかなと最近は思います。野球好きの親方を少なからずサッカーに目を向けてくれたのですから(私としては別に向いてくれなくても良かったんだけど…)、ファン層を広げてくれてはいるのです。



ただ、やっぱりラジオでサッカーは、どうもいただけません。何か、必要以上に熱くなってしまいます。
久御山が3点目を入れて、アナウンサーが絶叫した時なんか、完全に仕事の手が止まっちゃいました。得点と結果しかわからないから、サッカーのプレーを楽しめてないのに、興奮だけしてる状態です。これじゃあ、相撲でも野球でも一緒じゃないか、と思っちゃいました。



帰ってから録画を見たんですが、日テレ(ああ、やっぱりケチをつけちゃいますが)の実況は、相変わらず試合中にサイドストーリーをしゃべりすぎの印象です。ラジオならまだしも、「◯◯がドリブル!」とかも必要ない気がします。
せっかくサッカーの映像を見せているんだから、観ている側がサッカーを楽しめるような放送の工夫をしてもらいたいです。


滝二の2点目も、後ろで回して14番に渡ったところで、しゃべるのやめた方が良かったですよ。14番がわざわざ外に顔を向けてから右の裏に出した瞬間に解説の武田が「いいパスだ」と言うんですが、それだけでOK。あとは、ゴールの瞬間までの数秒間は沈黙したほうがいいと思います。そここそが、観ている者が息を飲む瞬間なんだから。
ああいう流れの美しさみたいなのは、サッカーの大きな魅力だと思います。そこを殺さないために、むしろ黙るタイミングみたいなのも考えてみてはいかがでしょうか。

そして、ゴール後の歓喜のシーンに「素晴らしい!」とでも重ねた方が、ずっといいと思うんだけど。




↑『久御山のメッシ』?
こういうネーミング、すぐつけたがります。でもメッシじゃないでしょ。(大体、メッシと言うなら、せめて左利きじゃないと。ねえ?)
メッシなんて言ってないで、「坂本くん」という彼の名前をちゃんと言ってあげるべきです。それこそが、この大会で何度もわくわくするシーンを見せた、彼に対するリスペクトってもんじゃないでしょうか。。。






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