熱い一夜

 岡田監督の現実を見据えた采配が見事でした。中村俊と遠藤を軸にした、ゴール前に人数をかけ、細かいパスと人の動きで相手を崩す戦法が、どこまで通用するのか見てみたいむきもあるかもしれません。でも、代表チームは中学生や高校生の育成年代とは違います。熾烈な予選を乗り越えて、四年に一度のW杯に勉強に行くわけではないのです。我々は戦いに行っているのです!(恥ずかしいな、ちょっと)。守備的だ攻撃的だ以前に、勝利のためにチームで全力を尽す。そういう戦いを、カメルーン戦の日本代表はやったと思います。
 「前から行かない」とか「右から攻める」とか「1点リードで残り◯分なら守りきる」とか、恐らくそのような約束事をベンチの選手、スタッフも含めたチーム全体で共有していた。そういう一体感を感じました。岡崎、矢野、稲本、というカードの切り方も、あのゲームの閉め方として、とても納得のいくもので、恐らくフィールドの選手達へも的確なメッセージとして伝わったのではないでしょうか。

 遠藤の鬼パスから、松井の切り返し、大久保とプルアウェイしながら入れ替わった本田に左でピンポイントのクロス。そして憎いほど落ち着いた本田のフィニッシュ。ぼけるまで忘れられないゴールが一つ増えました。それにしても、遠藤のコンディションが上がってきたような気がします。スピードアップしたりダウンしたりという絶妙な手綱捌きを、オランダ戦でも見せてもらいたいものです。遠藤さん、私の理想布陣からはずしてごめんなさいね。→ http://d.hatena.ne.jp/tebisal/20100527/1274969659

 これまでのワールドカップ優勝国は、たいていグループリーグはのらりくらりとつまらない試合をしながら、それでも通過して徐々にギアを上げていきました。ブラジルやイタリアやドイツという国のそれこそが地力です。あたりまえのことですが、日本はそうではない。叡智を振り絞り、全力でグループリーグ突破を目指して欲しいと思います。


13日のてびサル 参加19 コーチ3 ギャラリー3