Overlap

オーバーラップとは、ボールを持った前の選手を追い越していく突破の方法のことです。「ディフェンダーの攻撃参加」のことではありません。
細かいことを言うと、外側から追い越して行くことを指すようなのですが、「オーバーラップ」と言えば、サイドバックが中盤の選手を外側から追い越してボールを受け、クロスを上げるなりシュートを打つなり、という一連の動きをイメージする方が多いのではないでしょうか。


私がサイドバックのプレーを「面白い」と感じだしたのは、'82W杯のブラジル代表です。
このチームは黄金の4人で有名ですが、左右のサイドバックに、ジュニオールレアンドロという攻撃的な選手を置いていて、この2人がガンガン上がって行くのです。
特に、左のジュニオールは本来中盤の選手で、ペレをして「実力はジーコ以上」と言わしめた名手。この人が、もう「あんたポジションどこ?」というくらい、いろんなところに顔をだします。
無秩序なようで、チームとして成り立っている。ソロで自由に即興を繰り広げながら、主旋律にもどると、全員がピッタと合わせる。ジャズの素晴らしい演奏を連想させるチームでした。
ジュニオールはその象徴的な選手だったと思います。


優勝した'94ブラジル代表は、本国では「つまらない」という評価を受けたと伝えられましたが、私は好きでした。
ロマーリオというFWを小学生だった長男と応援していた(一緒にテレビで観た初めてのW杯)という思い出もあるのですが、(後にジーコが鹿島に呼んだ)ジョルジーニョとレオナルドという両サイドバックの活躍もその理由のひとつです。
レオナルドは、アメリカ戦で肘鉄を喰らわせ、一発退場。その後の試合を出場停止になってしまったため、グループリーグだけだったのですが、ゴールラインまで持ち込んで行って左足で折り返す、私のイメージそのもののオーバーラップを見せてくれたような記憶があります。


その後にでてきたロベルトカルロスには、最初は衝撃を受けましたが、プレースタイルはレオの方が断然好みです。


サイドバックのオーバーラップを生かすも殺すも、その前の中盤の選手次第。
日本代表でいうと、都並を走らせたラモス。あるいは相馬を走らせた名波というところですか。
ウエンブリースタジアムで、イングランド相手に、サントスのクロスを小野伸二が決めた美しいゴールがあったけど、あれサントスに出したの名波だったかなあ、俊輔かなあ…。


サイドバックを走らせて、ペナルティエリアの角あたりに左利きの選手の出すスルーパス
息をのむ瞬間です。



アジアカップ日韓戦で、チャドゥーリら韓国選手3人を引き付けておいて長友を走らせ、出した本田圭のスルーパスはまさにそんなパス。見事でした。
長友の折り返しを走り込んで決めた前田のゴール。完璧に崩しました。



その長友がインテルに行きます。
ちょっと信じられないようなニュースです。
しばらく、セリエAは観てませんでしたが、これは応援しないわけにはいきません。うちにミラニスタが2人いますが、私は俄インテリスタになります。監督はレオナルドですし…。



いやあ、それにしても決勝戦のウイニングゴールには興奮しました。
サイドで相手選手2人に囲まれた長友は、一度遠藤に下げました。遠藤は、更に一旦後ろに下げてからリターンを受け、もう一度長友に預けます。オーストラリアの選手は、きっとうんざりしたはず。「またかよ…。」さすが遠藤わかってます。
長友はへろへろのオーストラリア選手を簡単にかわし、きれいなクロスを上げました。それを李は見事に決めました。
言うことありません。ありがとうございました。



1/30のてびサル 参加18 コーチ2 ギャラリー1



(Kazu)