ちょっと語らせてください

パスもドリブルも上手くて、チームの点取り屋で、すばしっこくて、って言うタイプ、15、6年ほど前のジュニアチームには、そこいら中にいました。そういう選手が日本中にいて、その中でしのぎを削り、絞られて行った結果、香川を筆頭に清武、原口、東、宇佐美…ら、世界レベルでも注目される「攻撃型MF」が輩出されています。このタイプ、日本は宝庫だと思います。


先日のオリンピック代表戦でもそうでしたが、こういう選手をトップ下だけでなく、サイドで使うのが、流行なんでしょうか。右利きを左ウイングに、左利きを右に、という使い方をロナウジーニョの頃のバルサが流行らせましたが、それがさらに進化しているような気がします。縦に抜いて行ってクロス、中にカットインしてシュート、というのは当たり前。ペナルティエリアの最も堅く閉ざされている狭いエリアに走り込んでパスを受け、コントロールしてシュート、というのは、日本の誇る彼らのオリジナルではないかと思ったりもします。香川をマンUが本気で狙っているという話を聞きますが、まんざらあり得ないことではないのかもしれません。清武の海外移籍も時間の問題かな?


この手のタイプが出る前は、もう少しパッサータイプが花形だったような気がします。小野伸二中村俊輔小笠原満男…。トップ下というと、こういう選手達だったのですが、サッカーの戦術的な変化によって(トップ下を置かないシステムが全盛だったんですね)煽りを食らい、出番を失い、世界的にも「絶滅危惧種」などと言われていた時期もありました。
そこからサイドに仕事場を見いだしたタイプ。ツートップの片割れになったタイプ。一列下がって、ボランチの位置で生き残ったタイプもいました。ピルロなんかその典型です。
そのピルロのお手本がグラウディオラだったようで、90年代前半、あの位置で彼のようなパスの名人を使ったクライフは、やはり先を行ってたのかなあと思います。

ボランチ」というのはポルトガル語で、ブラジル経由で日本に伝わったことばです。私の知る限りでは、Jリーグ開幕直後には、まだ使われていませんでした。ハンス・オフトが初の外国人監督として日本代表チームを率いた時は「ディフェンシブハーフ」と言っていました。
森保一という当時無名の選手をそこに抜擢して、話題になりました。森保さんには、今年アルビレッジでお会いしたので、思わず挨拶しちゃいました。「こんにちは」つったら「は?」という表情を一瞬したけど、笑顔で頭を下げてくれました。いい人っぽかったです。

ともかくこの頃「このポジションはなんなんだ?」と気になり始めたサッカー好きは、私だけではないはずです。
フランスを目指す加茂周がここに抜擢したのは、山口素弘。彼も名人でした。ずっと後になって、引退した後に知ったことなのですが、彼のアイドルも実はグラウディオラだったのです(山口、名波、中田の中盤は、味わい深かったなあ〜)。
ちなみに、スペインではこのポジション「ピヴォーテ」と言います。「軸」とか言う意味だったと思います(ピボットです。つまり)。ことばが違うんだから、概念も違うんだろうなあ。フットサルでいう「ピヴォ」もここからきてます。フットサルでは位置的にはFWなんだけど、役割的には攻撃の「軸」です、たぶん(だよね?アンちゃん)。


遠藤、長谷部の二人で仕切る現代表のこのポジション。断言しますが、日本サッカー史上最高です。
オリンピック代表のマレーシア戦、あんだけ攻めていてなかなか決めきれなかった原因のひとつは、このポジションにあると思いました。遠藤がいたら、もうちょっとテンポを変えたり、目先を変えたりして、前戦のタレントを生かして得点まで結びつけていたと思います。でも、でも!

扇原貴宏という細身の左利きのボランチ。かなり気になります。  (kazu)