get on the bus 1

 藤沢清流 1-6 国学院久我山



短いパスで組み立てて崩して行くスタイルをとっているチームは、これまでも数多く対戦してきましたが、久我山が際立っていたのは、守備の方だと思いました。清流がボールを奪った後の切り替えが早く、自陣でマイボールになった時は、逆にピンチに。ここまで、作り上げてくるのは並み大抵な事ではないと思います。

ベンチワークもうならされます 。隣で見ていた長男が「ちょっと機能してない」とつぶやいていた選手がいたのですが、前半の20分頃に早々に交代。
先取点は、そこからほどなくして生まれました。

また、攻め込んだ時の、GKを中心としたゴール前の守備も固かった。
前半終了間際のマサ君の得点で追い上げムードで入った後半、清流はサイドが機能するようになり、何度か攻め込み、チャンスを作りました。コーナーも再三取りましたが、なかなか得点には至りません。逆にその時間帯にカウンターから追加点を奪われ、大差がつくこととなりました。

180越え三人と、マモル君、コウジ君が飛び込むコーナーは、清流の大きな武器でした。


後半なかば過ぎ、キャプテン シュン君交代。本当にご苦労様。

しかし、何点とられても、清流は攻める事をやめません。いろんな感情を押さえて最後のゲームをやりきろうと、必死です。

デカマツ君のヘディングシュートがバーを叩く。
マサ君とデカマツ君のCFのポジション争いも、このチームを成長させてきた要因の一つだと思います。

左サイド、ケンジ君のドリブルは後半に入って効いてきました。タイミングをずらして相手の逆をとる、関東大会予選で彼が冴え渡っていた、法政二校戦を思い出しました。

また、彼に交代して入ってきたリク君も、数少ない出場のチャンスの中で、精一杯力を出し切ろうとしていました。彼の事は小学生の時から知っていたのですが、玉際で体をはって強引に自分に有利な体勢に持って行くドリブルは、見ていて気持ちがいい。

ポゼッションスタイルのチームのパス回しの特徴として、相手のゾーンの間で受ける、というのがあるらしいのですが、それを成り立たせる技術は相当なものです。スッとフリーでパスを受けるので、見ていると「何で、取りに行かないの?」と映るのですが、そう簡単な事でもないのです。
でも、久我山のそんな見事なパス回しに、後半マモル君が勇気を持って前に出てボールを奪おうとしていた。それが、清流に流れを呼び込んだ大きな要因だったと思います。

80分すぎ頃だったでしょうか、チームの得点王、ジュンジ君がゴール前の混戦から放ったシュートは、本当に彼らしいものでした。普通打てないでしょ、という姿勢からでも、強く低い弾道のボールが蹴れる。強靭な下半身のなせる技です。
左右のキックに加え、豪快なダイビングヘッドも決める。そのほとんどがワンタッチシュートです。彼はトップ下にいて、守備にも奔走しながら、シュートチャンスには必ずエリアに入ってきます。ビルドアップや守備の際は中盤、攻撃時にはFW。オフ時にそうした動きを繰り返し、清流に何度もゴールを呼び込みました。
しかし、そのシュートもクロスバーに弾かれました。それが、このゲーム最後のチャンスでした。





ちょうど一年ほど前、このチームの始まった当初に酒井コーチは、ビルドアップの際にボランチの一枚を最終ラインまで下げないでCBの二人とキーパーで繋ぐやり方を選んだのは、「GKが足下の上手いトッツーだから」と言っていました。

また同じ頃、保護者の前で海野GKコーチは、副キャプテンの一人にトッツーを皆が選んだことに触れ「この学年は、ゴールキーパーの重要性をわかっている。」と評価していました。

試合終了後、応援席にスタッフと選手が向う時に、泣き崩れそうになったGKトッツーを、海野コーチが横から支えていました。キーパー同志だからこそわかる、言葉にならない思いがあったのだと思います。二年半厳しい練習を共に積み重ねてきた師弟の胸が熱くなるような、美しいシーンでした。





こうして、このチームで戦う最後のゲームは終わりました。

…つづく。