部活か、クラブチームか

少し前のことになりますが、保護者の方に「中学になったら部活がいいのか、クラブチームがいいのか」といった質問を頂いたので、参考になるかどうかわかりませんが、私の考えをちょっと書いてみました。

といっても、私の息子は二人とも町の少年団、中学校の部活出身なので、クラブチームの事情についてはわかっていません。いわゆるスクールのような所にも通った事がないので、そこでどのようなことが行われているのか、知りません。当然、両方を比較してどちらがいいのか、という考えは述べられません。
ですから、どうやってこのことを考えたらいいか、という書き方をしたいと思います。

うちでは、子どもに「普通にちゃんと生きていって欲しい」ということをまず考えていました。「ちゃんと生きていく」というのは「自立する」と言いかえてもいいかもしれません。(そんなに立派じゃなくていいから)いつか自立して自分で生活を始められるように、そこから逆算して、子どものことを、いろいろ考えていたように思います。


家訓のようなものがあるわけではありませんが、「これはいい」「これはダメ」という線引きはけっこう厳しかったんじゃないでしょうか。
挨拶とか、返事とか、まあごく普通のことを小うるさく言っていたように思いますが、ひとつよく覚えているのは、小、中学校の頃は、友人宅に泊まりに行ったり、家族ぐるみで夜他の家庭に行ったり、という誘いは断ることが多かったと思います。
これはかみさんの「家族というものを曖昧にしない」という考えが基本にあります。「夜はうちに帰って、うちで過ごすもの!」という考えでした。そこでは「うちと友だちんちと、どちらが楽しいのか」という選択はありません。つまらなかろうが寂しかろうが、ともかく基本的に「夜はうちに帰って、うちで過ごす」という、はっきりとした線引きでした。

今思えば、そのへんの考え方も、部活を選んだひとつの理由だったかもしれません。つまり、学校帰りに場所を移動してサッカーをして、夜遅くに帰ってきて、というような生活を中学生にやらせることに抵抗があったのです。その移動時間に、校庭でいくらでもボールを蹴れるし、うちで勉強もできる(まあそれはそこそこでしたけど)。そんで、しっかり食って寝て、早起きして、また食って、と。そういうリズムを大事にしたかった、という考えです。



そうした「ちゃんと生きていって欲しい」という考えを基本に、進路も考えました。最近よく見聞きする「サッカー選手として成長するためには、人間力も必要」というのではなく、プロサッカー選手になろうがその他の職業につこうが、まずちゃんと生きろということ。人としての成長が先にあります。だから、サッカーのことだけを考えて高校を選ぶこともしませんでした。

↑ あるクラブチームの選手の着替えた後です。きちっとしてます。


くれぐれも誤解のないようにして頂きたいのは、クラブか部活かで人間性が決まるということを述べているわけではありません。部活出身でも、クラブチーム出身でも、しっかりと成長している子はいますし、ちょっと…という子もいる。あまり関係ないのかもしれません。

部活、クラブチーム、どちらの内容がいいのかという考え方だけではなく、どう子どもに成長していってもらいたいか、そのために今、何を大切にしたらいいのか、その場合の時間の使い方はどうなのか、ということも考えてみた方がいいのではないでしょうか。
で、選んで入ったら、そこで起きるいいことも悪いこともひっくるめて、精一杯やりきる(よっぽどのことがあれば、それは別ですが)。そういう導き方が私は大切だと思います。
中学の部活で、上級生がなんかやらかして(そんな、親がヤキモキするようなことは、もう何度も…)「活動中止」なんてことがありました。後で聞いた話ですが、その時、中一だった次男が、職員室の顧問の先生のところに行って「部活をやってください!お願いします」と泣きながら頼んだそうです。なんというか、そういういろんなことを成長の糧にしてもらいたいと、思っていました(そう思うしかない、っていうのが正直なとこでしたが)。

いろんなことは、起きる訳で。ずっと、親がなんとかしてやるわけにはいかないのです。だから、いろんなことを乗り切る力も、つけていかなければいけない。で、そういう力は、サッカー選手としての成長にもかなり大切だと思うのです。



親が、人の評判を頼りに、あっちがいいとかこっちがいいとか、入れてはみたけどやっぱりあっちだったとか、フラフラするのではなく、成長した自分の子どもを想像して、今何を大切にしたらいいのか、しっかり考えて導いてあげて下さい。