アマチュアサッカークラブを作ろう! 2

前回書いた説明会からこのひと月ほどの間は、県の三部リーグ参入に向けて、選手とチームの登録、ユニフォーム作り、選手集めといったことで動いた、かなり中味の濃い時間でした。言い出しっぺの私と、数名の女性。そして、高校卒業を間近に控えた若者三人。このメンバーでフリッパーズは動き始めました。

登録にあたって大活躍してくれたのは、私のかみさんも含めた何人かのお母さん方でした。「夢とそろばん」ということばがあるそうですが、私はどこにでもいる、ただ夢だけを口走るおっさん。それを実現するための実行部隊の中心は彼女たちでした。

てびサルの再開に向けて動いていた時に、私はお母さん方の地域に持つネットワークであるとか、事務処理のスキルだとか、フットワークの軽さだとかに度肝を抜かれていたので、クラブの立ち上げには彼女達の力は欠かせないと思っていました。
仲間の中には、町クラブのいわゆる「渉外さん」を務めていた方(別々のクラブで2名も!)や中学校のPTA会長さんをやっていた方がいます。うちのかみさんは、トレセンの保護者会会長や、ついこの前までは100人近い保護者会の会長をやっていましたし。そして何より、サッカー選手を一人前になるまで育て上げている方々です。この手のことに関する話の通りが早い!小学生何十人の登録という大仕事を経験した方々にしてみれば、選手10数名の選手登録なんて「ああ、あれね」という感じ。オチャノコサイサイなわけです。



選手である三人の若者は、運営面でのクラブ作りに関わりながら、他の選手とのパイプ役も担っていました。

フリッパーズのLINEを作ったので、入って下さい」と彼らに言われ、(ガラケーじゃ無理かと思っていたのですが、わりと簡単に)iPadで登録。それで、ユニフォーム作りの相談などを始めました。私がこうるさく注文をつけた内容を、選手間の別のLINEで話し合い、また私と確認。こじれそうになった時は、実際に仕事から帰って、夜に会ったりしました。皆の意見を汲んで私にきちんとものを言う姿勢は、真剣そのもの。自分もいい加減な態度じゃいけないと思わされたりもしました。



ロンドンにあるアーセナルという人気クラブは、ベンゲルというフランス人監督が、無名の若手をスカウトしてきて育て上げ、イングランドの伝統的なロングボール戦法とはひと味違うパスサッカーで、成功したクラブです。しかし、アーセナルで開花した選手が、他のクラブに高額で移籍していくという話は毎年のようにでてきます。その度に聞かれるのが「(そうした選手は)アーセナルのアカデミーで育った生え抜きではないので、クラブへの愛着や忠誠心が薄い」というようなものでした。

社会人のクラブを作ろうと思い立ったときに、私はこのことが頭に引っかかっていました。まったく母体のない、新しく作るクラブへの愛着とか、いわゆるアイデンティティーって、どうしたら持ってもらえるんだろう?

でも、三人を見ていて答えはすぐにでてきました。

一緒に作ればいいんです。

一生懸命友達に声をかけて誘って、ユニフォームのデザインを考えて、みんなの意見を聞いて、お店で交渉してと…。自分たちで苦労して作っているんだから「このクラブはなくせない」っていう気持ちは自然に生まれてくるもんなんですね。




だったら、ほかの選手も一緒に作ればいいんじゃないか、そうすれば、ひとりひとりに、クラブへの愛着が湧いてくるんじゃないか、となったわけです。

ん、でもあと何を作るの?