アマチュアサッカークラブを作ろう! 3
このチームには監督が今のところいません。
実は私が勝手にイメージしていた人がいて、その彼もこのチームに関心をよせていてくれた…というより選手としてユニフォームまで作ったんです。ところが、今春大学を卒業し、就職した会社の赴任地が、なんと熊本県になってしまったのです。彼の門出なので、それはおめでたい話なのですが、さすがに「週末に帰ってきてくれ」と言えるような距離ではありません。
なわけで、その監督やコーチの役割も、選手達が自分でやることになったわけです。
ここまで話がくる前から、クラブの道しるべ的なものとして、ひとつは「理念」もうひとつは「プレーモデル」というものを作っとかなきゃいけない、という話がありました。
「理念」は私とかみさんで作りました。堅苦しいのはちょっと合わないかなと思ったので、こんなのにしてみました。
僕たちの流儀
ひとりひとりがカッコよくなろう。
途方もない目標なんかじゃなく、僕たちの力で出来ることを、確実にやっていこう。
負けてもいいなんて思わない、でも、勝つためなら手段を選ばないなんてことは絶対にしない。
子ども、オトナ、お母さん、お父さん、彼女、彼氏、友達、近所の人、隣町の人、そして自分……このクラブを応援してくれる人たちを増やそう。
だから、学校や職場、自分の居場所でしっかりやって、信頼される人になろう。子どもたちの目標になるオトナになろう。
このクラブを好きになってもらおう。僕たちのやり方を好きになってもらい、僕たちのやり方に感動してもらおう。僕たちが、僕たちのやり方を楽しもう。
誇りを持とう。
僕たちのやり方でクラブを育て、僕たちの流儀でゲームに勝つ。
楽しんで勝つ。
ちょっとキザかなと思ったのですが、そのくらいの方が丁度いいかなという感じで…まあ「理念」なんで。
それでもう一つの「プレーモデル」なんですが、これはそのクラブのサッカーのスタイルを示すものらしいんです。
ところで、今さらですが、ここ数年のサッカー界のトレンドは、ポゼッションであったり、パスサッカーといった、FCバルセロナの大成功から始まったスタイルであることは間違いありません。
日本でも、カテゴリーにかかわらず、あっちこっちでポゼッションサッカーばやりです。
ところが、これで成功を収めるチームはなかなかでてきません。特にプロの世界ではこれが顕著で、ポゼッションサッカーを標榜した監督が結果を出せずに、シーズン途中で更迭。別の監督が来て、また別のスタイルで…なんて話はヨーロッパでもJリーグでもしょっちゅう聞きます。プロチームは勝って結果をださなければならない。これは道理で、手間ひまかけても、なかなか結果に結びつかないポゼッションサッカーを貫くのは大変な事です。
でも、勝敗がクラブの存続にあまり影響しない、アマチュアクラブだったらどうでしょう?時間をかけて、てまひまかけて、存分にやってみたらいいのではないか、そう思うわけです。
で、三人組もポゼッションで行きたいと言う。すると「ところで、ポゼッションサッカーってなんだ?」と、話は次に行くわけです。
後ろからどう組み立てるんだ?ポゼッションしていてボールを失ったらどうするんだ?最後の崩しはどうするんだ?相手の方がポゼッションが上手かったらどうするんだ?
そういった、チームのやり方をある程度決めたもの、それがプレーモデルというわけです。
普通は監督やコーチが考えるものなのかもしれませんが、これを選手みんなで作ろうということになり、三人組を中心に準備を進め(熊本へ行く彼が良きアドバイザーになってくれました)、つい先日選手が集まってミーティングを開いたのです。
これが、さすが長い事サッカーをやっていた連中だけあって、とても充実した内容でした。
だいたいまず驚いたのが、初めて集まったのに、ミーティングの体裁ができていたということ。実に普通に。
前述したサッカーにおけるいくつかの状況を話す時も、司会に振られると、当然のように自分の意見を持っているのです。これこれこうしたいと。みんなほぼ即答です。感心しちゃいました。彼らの高校の先生はさぞ授業がやりやすかっただろうな、なんて思いました。
なるほどなと思ったのが、そこにいる選手達の部活のやり方を持ち寄る、というやり方です。例えば、自分たちより格上と対戦した場合にどうするか、というテーマ。司会の質問は
「〇〇たちの高校は、選手権予選でその年のインターハイチャンピオンに勝ったじゃない。あの時は、どういうやり方をとったわけ?」という具合。思わず、乗り出して聞いちゃいました。
少しずつなんだけど、確実に進んでいる。それを実感できるのは、こうして、ひとりひとりがいろんなことを、自分たちでやってるからだと思います。かかわるほどに、クラブへの愛着は増して行きます。